どこまでも、蒼く



俺にはそんな立派な心はない。


前向きな人間などいないんだ。
みんな後ろ向きで生活をしているんだ。
けど、前に太陽があったら、きっと人間は明るい場所を目指すだろう。

その太陽は、好きな人かもしれない。
愛する人かもしれない。
前にその人がいたら、
夢中に追いかけるのであろう。
たとえ遠くても、
手に届かなくても…

前に進むのだろう─…



目の前には沈みそうな夕日。
それを見ていたら、前に進もうと思った。

なにをくよくよしている?
なんで泣きそうになっている?


俺は陽菜が好きなんだ。
それだけでいいじゃねぇか。


そう…それだけで…。



『もうすぐクリスマスだな?一緒に祝おうな!』


『うん!楽しみだね!!プレゼント用意するから楽しみにしててね!』



今の俺にはこんな精一杯の笑顔しか出来ないけど、大丈夫だと信じたい。

陽菜はいなくならないよな?


この温もりを信じて、
夕日に向かって歩いていく。