修復不可能なくらい、粉々には割れていないけれど、きっと割れただろう。
もう涙さえ出ない。
そして俺は無表情なまま苦笑いを浮かべる。
『良かった…じゃん』
こんなこと全然思っていない。
思うはずないだろ?
視線を下に下ろすと、陽菜が大事そうに持つ、慶汰の雑誌が映った。
雑誌の中には、飽きるくらい見てきた、慶汰の笑顔があった…。
無性に腹が立ってくる。
陽菜も慶汰も、
俺を見て笑うなよ。
惨めになるじゃねぇか。
すると後ろから会話に華を探せる女の子の声が聞こえてきた。
粉々になったハートがまた粉々になる。
『あった!これこれ!慶汰の雑誌!良かった、まだ置いてあって!』
『久しぶりに見るよね!またさらにかっこよくなったー』
…どくん。
なに、これ?
慶汰の人気を改めて知らされている気がする。
俺の居場所はやっぱり…どこにもねぇじゃん…。


