覚えていなくてもいいよ。
記憶が覚えていてくれるから…。
やっぱり、この時期外れの海には人気がない。
いるとしても犬を散歩させる飼い主くらいだ。
浜辺には幾つもの足跡。形はさまざまだけれど、この地を訪れたという証拠だ。
俺達も遠慮なして浜辺に足跡をつけていく。
『海だー!!』
オレンジ色をした太陽は、海や浜辺、そして空までも同じ色に染めていく。
どこまでも広がる海が、俺の心を徐々に癒やす。
すると隣にいた陽菜が俺の手を離して、靴を脱ぎ始めた。
次は靴下。
なにをするのかと思って見ていたら、お決まりのことをし出した。
海に向かって駆ける陽菜。
そして海に足をつけて、寄せては返す波で楽しんでいた。
陽菜の後ろには大きな太陽がいる。
それをみた俺は、この風景を絵にしてみたいと思った。
『嵐!気持ちいいよ!』
ずっと忘れたくない…。


