そんな行事に慣れてしまっている三人は、飄々と歩いていく。
『やっぱり佐伯先輩が一番だよね!綺麗すぎるよー!!』
『でもすばる先輩と井川先輩もいい!!本当にかっこいい!!』
いつものように飛び交う後輩たちからの愛のメッセージ。
聞こえていないフリをするが本当は聞こえている。
だってあんなにも強い視線を送るのだから。
『あー腹減ったー!!』
右隣ではすばるが朝から変なことを言っている。学ランのボタンを全部外し、その中から見えるピンク色のTシャツは、彼に可愛らしさを与える。
『朝飯食ってきただろ?昼まで我慢しろ』
左隣では馨が歩きながら小説を読んでいる。
器用に人を交わしながら、黙々と字を目で追っていく姿は、とても惹かれるものだ。
俺はただ真っ直ぐ前を向いて、無心のまま歩く。
…さぁ、1日のスタートだ。


