なぜならばあいつがいる。
家、イコール、慶汰。
陽菜の転校理由は憧れの慶汰にお礼を言うため。
無理無理無理。
無理に決まっている。
例えば、陽菜を家に呼んで、慶汰と鉢合わせて、実物を見たら心が揺れて、はい終了…ってなるに決まっている。
そんなの許されるわけない。
『嵐?なんて?』
『ダメ!俺ん家汚いし、つまらないし』
『なんで?紘人に聞いたら、嵐の家には面白いものがあるって言ってたよ?』
…紘人のやつ…
陽菜の性格を利用しやがって。
紘人は応援してるのか、滅茶苦茶にしようとしているのか分からない。
俺は精一杯作り笑いをして、陽菜を納得させようとする。
『面白いものなんてねぇから!家なんて行かずにもっと違うとこ行こうぜ?』
家は危険だ。
危うく慶汰が俺の兄貴だとバレるところだった。


