高鳴る胸の鼓動。
どうしよう…
ずっと抱きしめていたい。
遠くからは誰かの話し声が聞こえてくる。
丁度いい機会だ。
他人に見せつけられるのは。
こう頭の中で思い、陽菜の顔をくいっと上へと上げた。
そして顔をゆっくりと近付ける。
俺はお前の真っ赤な唇にキスをしたい─…。
ダメですか?
『あ…嵐…』
お願い─…。
キスをさせて─…?
今日こそは…。
瞳を再び開けると、俺は体のバランスを崩していた。
『ダメ!!ここは公共の場所です!!』
校舎に広がる陽菜の声。俺は反射神経をうまく使い、バランスを整える。
『まじかよ…』
また断られた。
これで何回目?
指折りで数えいくが、もう数え切れないくらい断られてきた気がする。
なんで?
恋人同士なら接吻くらいするのが当たり前だろ?


