どこまでも、蒼く



井川馨《いがわかおる》こいつは今年仲良くなった同じクラスのやつだ。真面目なタイプで、なぜ俺たちと連んでいるのかは謎である。
黒髪は彼に似合っていて、眼鏡の奥に輝く瞳で、何人かの女は恋に堕ちているようだ。

あまり笑わないが、一緒にいて落ち着くし、冷静に判断できるようになれるため、馨はかけがえない友達の一人。


『馨ー!毎朝出迎えご苦労!』


すばるは馨に近づき、肩をポンポンと叩いている。
馨は顔色ひとつ変えずに、すばるに接していた。

長身の馨は、学ランより和服の方が似合う、と毎回思ってしまう。


『おはよ、クールボーイ』


低い甘いボイスの馨から零れ落ちた言葉。
それを聞いた俺は少しだけ口元が緩んだ。



『うるせぇよ。早く行くぞ』


俺たち三人は、並んで校舎の中に入っていく。
行く道中、数々の生徒に見られるのも毎朝の恒例行事になりつつある。