どこまでも、蒼く



そうだ、忘れていた。
もう一人のあいつのことを。
あいつも俺とすばると連んでいる。


一見、俺たちと雰囲気が違うのだが、なぜか一緒にいる。
あいつが現れるのは、もう少ししてからだ。



『俺は…嵐に幸せになってもらいたいんだ。だから…』


『…あっそ。俺には当分幸せなんて来ねぇよ』



すばるの言葉を、俺は突き放して…
本当は嬉しい気持ちはある。
だけど素直に言えなくて、困っているんだ。



家から30分ほど歩けば学校が見えてくる。
とても通いやすいとは思うが、毎日歩くのは大変だ。
かと言って、自転車など使いたくはない。


俺が自転車なんて乗っていたら、笑われそうだから。


すばると話していると、すぐに学校に着いてしまう。

そして、あいつが現れた。
校門にもたれ掛かり、文庫本サイズの小説を読んでいる。

黒い縁のお洒落な眼鏡は、彼をかっこよくする。



『馨《かおる》』



彼の名前は馨。