どこまでも、蒼く



困っている人がいたらほっとけないタイプ。
その優しさに陽菜は触れたようだ。


『でもよく分かったな、慶汰だって』


『うん…。たまたま立ち寄った本屋さんに、慶汰が表紙の雑誌を見つけたから…』



慶汰と陽菜の関係は分かったけど転校の理由はまだ明かされていない。
俺は焦る気持ちを一生懸命抑えていた。


『それが、陽菜の転校の理由なの?』


『ただ…慶汰に《ありがとう》って言いたかったんです。きっと覚えてないと思うけど…』


そして俺は一番気にしていたことを聞く。

これを聞くときは本当に怖かった─…。


『陽菜は慶汰のこと好き…なの?』



どうして想いは簡単に伝わらないんだろう…


陽菜の方に顔を傾けて、質問をする。


どうか、どうか…
好きなんて言わないで。

そして陽菜は俺を見つめてゆっくりと口を開く。


『慶汰は憧れです…。恋愛感情はありません…』