もしここで千夏を抱きしめたら、自分を見失うような気がした。
俺は唇を軽く噛んで、千夏を見つめることしか出来ない。
本当に…ごめん。
『ごめん…。期待持たせるようなことばっかりして…。けどわがままかもしれねぇけど、千夏とはどこかで繋がっていたいと思ってる。だから…友達でいて?』
俺は千夏に近づいて、下を向いて涙を垂らす千夏の顔を覗き込む。
お願い、頷いて。
『…嵐は…優しすぎなんだよ…ばか…』
千夏は小さく笑って、拳で俺の体を軽く殴った。そんな千夏を見て、俺は少しだけ安心をする。
『俺を好きになってくれてありがとう…』
こう言って、千夏の頭を撫でて、一歩先に進んだ。
好きという気持ちに向き合いたい。
胸を張って、自信を持ちたいと思う。
『あたし絶対幸せになるから。負けないよ?』


