軽く流して、俺は歩き出す。
俺のあとを尻尾を振って喜ぶ犬のように、すばるはついてくる。
『嵐、ひとつ聞いていいー?』
隣に並んで、怪しい笑みを浮かべ、俺に視線を送る。
そんな視線をあえて無視をし、歩みを進める俺。
『…は?』
『彼女…欲しいと思いませんか?』
真剣な彼の瞳は、俺を呆れさせるものだった。
いきなり何を言うのかと思ったら。
この言葉も毎日のようにすばるは言う。
さっきの言葉より、こっちの言葉の方が聞きたくない。
…彼女?
俺には必要ありません。
『…思いません』
『なんでだよ!?もう秋だぜ?もう冬だぜ?寂しくないのかよ!!』
後ろでは俺の答えが気にくわなかったのか、駄々をこねている子供のように暴れているすばるがいる。
お前はガキかよ。
『寂しくねぇな。女なんかいらねぇよ』


