確かに俺の部屋はシンプルだ。
目立つものがあまりないと言っておこう。
それに黒と白しかないモノトーンの色のせいかもしれないけど。
俺は紘人にタオルを渡し、自分も濡れた髪の毛を拭き取っていく。
『…で?話ってなに?
ここまで来させといて《ありません》とか言うなよ?』
『まぁ…そのうち分かるって』
はぐらかす俺。
そんな俺を見た紘人は不思議でたまらないだろう。
でも、もうすぐだ。
今ちょうど夜の7時を過ぎた。
もうすぐ、あいつが帰ってくる。
俺はその間、濡れた紘人の衣服を乾燥機で乾かした。
二人で座談をしているとき、あいつが帰ってきた。
鍵が開く音。
その瞬間で分かる。
…慶汰が帰ってきた。
さぁ、俺の秘密を教えましょうか。
『…帰ってきた…』
『は?誰が?』
近づく足音。
きっとあいつは俺の部屋のドアをノックもせずに開けるだろう。


