アスファルトにつく、無数の足跡。
それらの大きさはさまざまだけど、外は雨だと改めて思わせる。
毛先からは冷たい滴が落ちていく。
マンションに着いたころには二人ともびしょ濡れになっていた。
このままだと風邪を引く。
秋だからといって油断は禁物だ。
鍵を開けて、紘人を部屋へと案内をする。
玄関を見ると慶汰の靴はない。
ということはまだ帰って来ていないということ。
『入れよ』
『…ああ。お邪魔…します』
まずは紘人を自分の部屋へと案内をする。
案内をし、『適当にしてて』と告げて、バスルームからタオルを数枚持ち出した。
早く拭き取らなきゃいけない。
でも乾かす暖房器具なんてまだ出していないし…
タオルを持って部屋に行くと、そこには立ち尽くした紘人がいた。
『どうかしたか?』
『や…すげぇシンプルだなって。黒と白しかねぇじゃん』


