どこまでも、蒼く



俺はこれまでの間、どう紘人に慶汰の存在を言おうか迷っていた。
なぜいきなり紘人にそんなことを言うかって?

それは単純なこと。
紘人が俺に秘密を教えてくれて少しだけ楽になったのなら、俺も少しだけでも楽になりたいから。
慶汰の存在を言ったら、紘人はもっともっと俺にアドバイスをくれるんじゃないかって。
思い込みでもいいよ。
同情されたって別にいいよ。

俺は陽菜を裸のまま愛したいから。


『なんで…マンション?嵐の家とか?』


冗談混じりな言い方で紘人は笑いながら言う。
俺は冷めた目で紘人の方を向いて、小さく笑った。


『そうだけど?』


『嵐、なに考えてんの?俺…そんな飢えてないし…』


…紘人、お前なに言ってんだよ。
もう少し頭の働くやつだと思っていたのに。


すげぇ期待外れです。


『紘人…お前なに考えてんだよ?』



エレベーターに乗り込んだ俺たちを、ゆっくりと運んで行った。