俺はいつからこんな小さい人間になってしまったのだろう。
あの時から笑っていない気がする。
それは、両親がこの世から去ったとき。
両親の顔ははっきりと覚えていないが、その日の空は泣いていた。
《いい子にしてるのよ、嵐…少ししたら帰ってくるから》
ずきん、と痛む頭の中で浮かび上がる言葉。
それは…母親の優しい言葉。
でも、裏切ったじゃないか。
そのあと、母親は父親と消えた。
《嵐のことは俺が守る》
両親が消えたあと慶汰が言った力強い言葉。
でも、裏切ったじゃないか。
慶汰は自分の好きなことに没頭したじゃないか。
俺を置いて。
『…嵐?嵐ー?』
顔を上げると、心配した表情を浮かべるすばるがいた。
茶色い瞳に俺の姿が浮かぶ。
また、ピアスが輝きを放つ。
『…悪い。考え事してた』


