双子にした理由は、精一杯の両親の思い。
誕生日は違うけれど、母親は違うけれど、二人は愛し合って出来た子供だから。
でも陽菜は気付いていないのか?
誕生日が違うのに、母親が違うのに…
『陽菜は気付いていないのか?』
紘人は下を向いて歯を見せながら笑った。
その笑顔はなにかに耐えるような、必死な作り笑いのような気がした。
『気付いてないよ。気付かねぇよ。だって顔も似てて血液型も一緒だぜ?多分両親は血液型が一緒で喜んだと思うよ』
…その理由は?
…他人じゃないと気付かれないため。
『でも…苦しいじゃん。お前すげぇ苦しいじゃん…』
『苦しいよ。俺は嵐が羨ましい…』
そんな悲しい顔浮かべてそんなこと言うなよ。
羨ましいなんて言うなよ。
俺が羨ましい?
どこが?
俺は価値のない無力な人間なのに。


