どこまでも、蒼く



すると立ったままだったすばるが紘人の肩を掴み、紘人の歩みを止める。

『…なに?』


シーンとした空気と沈黙が流れる。
馨もさすがに驚いたのか、すばるたちの方を見上げていた。


もしかして紘人の存在に腹を立てたのか?


『お前のキャラ…いい!つーことで、今からダチな!宜しく、紘人!』



すばるから飛び出た言葉を聞いた俺は、がくっと頬杖をしていた手から顔がずり落とした。


…なんだよ、それ。

クラス全員も思っていたはずだ。
意味分かんねぇよ。

見てみろよ。
紘人だって唖然として何も話さないじゃねぇか。

『お…おう。宜しく』


『俺すばるだから!すばるって呼べ!な!』


すばる…。
頼むから周りの温度差に気がついてくれ。


すばるは紘人と背中を叩き、誇らしげな顔を浮かべ、席に座った。

そして紘人はもう一度歩き出す。


まだ香ったことのない、香水の匂いを漂わせて。