なんでお前がいるんだ。誰かなにか言ってくれ。夢だとか嘘だとか。
誰かにどうしても言って欲しかったんだ─…
紘人の登場で一気に教室が騒ぎ始める。
その大半が女だけど。
前を見るとすばるが紘人のかっこよさに言葉を失っているようだ。
さっきから口を開けて紘人を見ているから間違いはないだろう。
他人のことに興味のない馨は自分だけ一人の世界へといて、帰って来ないし。
俺は陽菜を見つめて、口を開いた。
『何で、紘人が?』
『紘人昔から無茶苦茶なの。陽菜に内緒でこの高校に転校して来たんだって』
いや、お前ら姉弟が無茶苦茶だよ…と突っ込みを入れたかったが、ぐっと堪えて自分を納得させようとする。
『えっと、また転校生がやってきました。名前は…』
『蒼井紘人です。陽菜とは双子で俺が弟。ま、宜しくってことで!!』
笑顔も眩しいと思ったのに、性格までも眩しいなんて…。
羨ましいところが沢山ある。


