それだけだろ?
他になにがある?
なにもないだろ?
嫉妬は邪魔なもの。
邪魔はいらないもの。
なのに何故この世に存在するのだろう?
千夏との電話を切ったあと、このことばかり考えていた。
紘人、お前は陽菜の双子の弟かもしれない。
だけど悪いけど…
陽菜の心は俺が奪うから。
…次の日、目が覚めると部屋は明るくなっていて、もう朝だと気がついた。
携帯の時間を見るといつも起きる時間と同じだ。そしてある異変に気がつく。
…慶汰が起こしにこない。
珍しいな。
もう仕事に行ったのかもしれないけど。
毎朝と同じ行動をして学校に行く準備をする。
もう肌寒くなってきたな。
9月の始めなのに、もう冬が訪れようとしていた。
あと半年ほどで卒業だ。
俺は知らなかったんだ。この残された高校生活が、人生の中で一番心に残る時間だということを。


