どこまでも、蒼く



《あのね、嵐…》


囁くような小さな声。
俺は耳を澄ませて、向こう側にいる千夏を心配する。

いつもの千夏じゃない。まるで必死に何かに耐えているようだった。
だけど俺にはまだ優しさという力がないから…
見逃してしまうんだ。


『ん?なに?』


絨毯の上に座り、ベッドに持たれかかる。
この体勢が一番楽だから。


《明日遊べる?遊びたいんだよね》


なんだ、そんなこと?
深刻な話でもなんでもねぇじゃん。
そのくらいの望みだったら叶えてあげるよ。


『うん、大丈夫。どうせ暇だし。用はそれだけ?』


《うん!ごめんね!ありがとう。じゃあまた明日ね!》


電話の最後はいつもの千夏に戻っていて、心配をして損したと、電話を切ったあと思った。


ねぇ、どうして人は嫉妬をする?





…それは独占したいから。