どこまでも、蒼く



でも俺は肝心なことを忘れていたんだ。
慶汰を超える前より、ずっと大事なこと。

その時、もうお前は─…


…空が曇り出す。
理由は太陽が隠れたから。
それと同時に授業の終わりが告げるチャイムの音が鳴った。
一斉に立ち上がる生徒たち。
先生に一礼をして、休み時間と変わる。
授業中の張り詰めた空気とは違う空気が流れだす。


俺は鞄を持ち、席を立った。


『嵐、どこいくんだよ?』


後ろからすばるの声が聞こえてくる。
俺はゆっくりと振り返った。
そこには不思議そうな顔をしているすばると、冷静な馨がいた。


『…帰るわ。気分悪い』

こう言って、俺は教室をあとにする。
生徒たちの雑音が背後から聞こえてくる中から、静かにいなくなった。


陽菜はまだ教室に帰ってきていない。
気分も悪いし、陽菜とどうやって会話をしていいのか分からないし…
丁度いい機会だと思った。