どこまでも、蒼く



俺は小さい頃から絵を描くことが好きだった。
美術の成績は常に良かったし、自分でも才能があると思っていた。

けど中学のときの美術の先生に言われた一言で、俺は崩れ落ちたのだ。

『嵐は慶汰と同じような絵を描くな』って。


その言葉を聞いた俺は絵を描くのをやめた。
今は趣味として描いているけど、本格的に描こうとは思わない。


慶汰が前にいるから、道が狭くなるのだ。


俺は描きかけの絵を破った。
2つに裂かれる風景。
それをぐしゃっと手で握りしめ、机の中に無造作に入れ込んだ。


道を変えれば前に慶汰はいないかな?


そんなことばかり思う。

グラウンドに散らばる茶色の葉っぱが風によって行き来を繰り返している。
最初いた場所から動いたのに、また同じ場所に戻る。

もし俺が道を変えたとしても、また同じ道に戻り、目の前には慶汰がいる。


…苦しい。
夢さえ不自由なんて…。


誰か、助けてください。