ありがとう。
何回《ありがとう》と言えばいいのかな?
俺はお前とサヨナラをしてからずっと…空を見上げている。
順調に風景を描いていく。
今日は俺の心は荒れていないようだ。
すると、机の上に置いてあった携帯電話が突然震えだし、机までも揺らした。
サブ画面に写る、見たくもない名前。
止まる手。
調子が良かったのに、どうして今?
悪戯ですか?
『慶汰…』
《着信 慶汰》
今はお前の名前なんか見たくないよ。
久しぶりに力作が出来ると思っていたのに。
バイブの音に気がつく生徒達の視線が俺に集まってくる。
俺は仕方なく、シャープペンシルを置き、携帯を手に持ち、通話ボタンを押した。
授業中だって知っているだろ?
意味わかんねぇ。
ここの学校は厳しい校則はないため俺は普通に電話に出る。
でももちろん、小さな声でだけど。


