もしあのときだったら、どうしてこんなにも簡単なのだろうと思う。
だってそうだろ?
一瞬で恋が始まったのだとしたら、早いものだ。
ということは、恋をすることは簡単なのだ。
じゃあなんで困難?
それは…、想いが伝わらないからだ。
そのせいで毎日辛くなって、毎日不安になって…
でも好きで。
でも体は正直で。
これを乗り越えれば、必ずピンク色で溢れる毎日になるだろう。
『…惚れた理由なんてないよ』
響き渡る、俺の声。
世界からは反応はないけれど、自分はこれでいいと思っている。
すばるだって納得してくれたはずだ。
『確かにな。俺応援するから!』
すばるの瞳が輝いている。
まるで宝物を見つけたかのよう。
そして俺は進む。
ピンク色で溢れる毎日を目指して。
でも、俺は恋に対して、未熟者だと気づいてはいないんだ。


