この顔を見ると余計に腹が立つ。
だがこれ以上弁解しても無駄だと思った俺は、すばるの顔を離し、小さく溜め息を零した。
『…どうして分かった?』
『嵐見てれば分かるっつの!!』
すばるは顔を手でさすりながら、涙目になって俺を見てくる。
俺は壁に体を許し、そのまま廊下へと座り込んだ。
『恋なんて一生しねぇと思ってたのにな…』
『無理なんじゃね?恋をするからこそ生きる価値があんだろ?』
…恋をするから生きる価値がある。
そう。そうなんだ。
限られた人生の中で、心に残る、記憶に残る恋を幾つ出来るのだろうか?
限りなくゼロに近いのか。
限りなく百に近いのか。
それは人によって様々だけれど、生きているうちに恋は必ずするもの。
だからこうして、
俺はやっと巡り逢えたのだから…。
運命の人と。


