どうしてだろう。
こんなの初めてだ。
こんなにも慶汰を超えたいなどと思ったのは。
やっぱりお前だからなのかな?
冷たい廊下の空気がすぐそこまで迫ってきているように感じた。
今は授業中。
だけど物音すら聞こえてこない。
まるで世界が死んだかのよう。
俺は壁にもたれ掛かり、携帯をいじるすばるに、こう言葉を投げかけた。
『なぁ、すばる?恋ってなに?』
さっき屋上で陽菜に聞かれたことが蘇ったのだ。自分はまともな答えを出すことが出来なかった。すばるなら…少しは対等な答えが返ってくるはずだ。
少しの希望に期待をする。
『恋っていうのは、頭から離れないくらい相手を好きになること!時には嫉妬したりして、思い通りにならないもの。これ、すばる説!』
期待以上の返事がすばるから返ってきて、俺は驚いてしまう。
すばるが携帯を振り回すせいか、携帯についていたストラップが悲しく揺れていた。


