ようやく今、痛さが広がってきた。
遅いけれど、冷たい空気に触れたら、急に痛くなってきた。
気味が悪いくらい静かな校舎の中を歩き、自分の教室を目指している時、後ろから誰かに背中を叩かれた。
驚くことはなく、冷静に後ろを見ると、そこにはピースをしているすばるがいた。
『嵐、どこ行ってたんだよ?蒼井と抜け出しちゃったりして!また変なことしてたんだろ?俺ねー今トイレ行ってきた!』
すばるの冗談が余計苛立ちを募らせていく。
こいつに悪気はないのだけど、今の俺は気分が最上級にひどい。
だけど大人になりたい俺は、そこをぐっと堪えて、いつもと変わらない態度を見せる。
『…俺、慶汰を超えるから』
どうしてすばるに言ったのかは分からない。
でも誰かに言っておかないと無理な気がしたんだ。
慶汰を超える。
理由は、お前の一番になりたいから。


