さて、先生はぐっすり寝てるみたいだし、別にたいしたこともないし、絆創膏はいっか。あたしは起こさない様に静かにその場を離れようとゆっくりと歩く。けど下にプリントに落ちているのに気付かず、思いきり踏み付けてしまった。
「わっ!」
プリントが滑って足が掬われた。やばい! そう思って、体制を直そうとしても身体は宙浮いている。あたしは咄嗟に近くにあった布に捕まってみた。けど、それは呆気なくあたし体重に負けて、一緒に落下してきた。
ガシャァァン!!
床に倒れるあたしの頭上から、鉄の円形の小物入れのような物がたくさん降ってくる。それが床に当たる度に蓋が開き、中から脱脂綿やら絆創膏やらを撒き散らしながら、四方に転がっていく。
こんなとこに絆創膏があったのか。……んな事より、勘弁してよ、もう。無惨にもあたしの目の前は地獄絵状態。今ほど、魔法が使えたら。なんて思う事はないと思う。
「ん……」
げっ!! 小さな声が聞こえて身が強張る。やばい、先生がいたのを忘れてた。こんなの見られたら絶対に怒られる! 見た目怖そうだったし、どうしよう……。よし、存在に気付かれる前にここから逃げよう。

