私は私立青竜学園のベンチに座った。






怪我もなく、戦ったということさえ嘘のように感じられた。






ヨシトはどこかに消えた。






私は『伊藤マサ』のことを考えた。






彼は何をしようとしているのだろう。






『W』を『ヘブン』の防衛軍にすることの意味がよくわかなかった。






私は考えることを止め、夜空を見上げた。






夜空には沢山の星が光っていた。






「おい、アカネ」






ヨシトが戻ってきた。






両手に缶ジュースを持っていた。







ホットのコーヒーを貰い、ヨシトは私の隣に座った。






「アカネ、さっき奴は何者なんだ。
あんな奴と戦った理由を教えてくれ…」






ヨシトは私に質問し続けた。







私はしばらくヨシトの話を無視した。








私にもわからないことを答えられるわけがない。






「ヨシト」






「何だ」






「私はボスよ。敬語を使いなさい」






「…」






ヨシトは私の方を見て笑った。






「何よ」






「いや、いつものアカネだと思ってさ」






「私は私よ」






「そうだよな。すまない」






「だから敬語を…」






「それより、アカネに話したいことが二つあるんだ」






ヨシトは笑うのを止めて真面目になった。