「あんた、一体何者なの…」






私はどうせればいいのかわからない。






ただ『神山ミコト』と話すことしかもう策がない。






「この前言ったとおり、僕は『超越者』なんだ」






「おい、アカネ。逃げるぞ。
こいつは俺たちが戦えるレベルじゃない」






「…どうして」


「…」






「どうして、あなたなの。
あなたさえいなければ私が一番強かった」






「辻本…」


「アカネ…」






「私は子供のときからお父さんに鍛えられ、誰よりも強く生きるように教わった。
勉強でも能力でも…。
でも私の才能は戦闘以外何にも役に立たず、能力値だってお父さんの半分もない。
だから『キャンセラー』なんか使って…訓練してお父さんに勝った。
それで私は誰よりも強いと思えた。
でもそれも今日で終わり…なんであんたなんかに負けないといけないの。
何の努力もしていないのに…」






私は涙を出した。







人を殺すことも嫌だ。

人を傷つけるのも嫌だ。

人を悲しませるのも嫌だ。






心では分かっているのに頭は『誰よりも強く』ありたいと考えてしまう。






私は自分を殺して自分の意志で







人を殺し、

人を傷つけ、

人を悲しませた。






でも、それも今日で終わりだ。






絶対的な壁が目の前にあった。

これを超えることは人生を掛けても不可能だろう。






「アカネ…」







私はヨシトの方を見た。







「お前は負けない。俺が負けさせない」