私は声が聞こえた方を見た。



幹部の一人が立ちあがっていた。



「恐れ入りますが、何かご不満でもおありでしょうか」


「あるに決まっているだろう。
なぜ総長の娘が我々のボスになるのだ」


「それでは次期総長は誰が宜しいのですか」



男はニヤリと笑い、「俺がやろう」と言った。





「そうですか。
それでは仕方がありません。
私たちの総長の条件は『誰よりも強い』ことが条件です。
私を倒したら次期総長の座を御譲りしましょう」







男は私に襲いかかってきた。







男は右腕を振りかざし殴ろうとした。


女だろうと関係ないと思っているのだろう。


私は避けた。


私は男との距離をとった。


男は真顔で話し始めた。





「お前の親父さんは確かに最強だ。
全身を『強化』する能力で攻撃を寄せ付けない。
それなのになぜ『キャンセラー』を付けていたのか分かるか」



「わかりません」



「俺が怖いからだ」
男は自信満々に話している。



「俺は右腕のみ『強化』するがその『強化』はお前の親父さんの『強化』よりも上だ」



「つまり、この組織の中で現在一番強いのはあなただと言いたいのですか」



「そうだ」



「私と戦った場合、命の保証はありませんが宜しいでしょうか」



「それは俺が言うことだ」











男はまた私に襲いかかった。













私はまた避けて腰に入れておいたナイフを手にして男のお腹を刺した。