月曜日。

私は金曜日の出来事を、バッチリ覚えていた。

だから、休憩時間に、深沢の所へ行った。


うざい?…そうかもしれないね。

けど、覚えてたら教えるって言ったから、私は聞いたんだ


「ねぇ、金曜日に言ってた、深沢の好きな人って、誰?」

私が、まさか覚えてるとは思わなかったのか

一瞬驚いた顔をした後に、深沢はあきらめたように、ため息をついて、こう言った。


「記憶力良すぎ。俺の好きな人は…。」

ぼそっとしか聞こえなかった。


「え?誰って??」

「お前」


からかわれてるんだって思った。

だから私は、深沢から離れようとした。

すると深沢は、私の手首をつかんで


「今の、聞こえた?」

と確かめてきた。


金曜日に、私が深沢の事を好きだなんて言ったから、気を使っているんじゃないかな?

そう思った私は


「別に、無理してそんなこと言ってくれなくていいよ」

と言った。

でも、深沢は真剣な顔で

「無理してとかじゃなくて、高瀬が好きだから。」

と言い放った。


言いようもない、複雑な空気が、私と深沢との間に流れた。