「紛らわしいことをするな!溺れたかと思ったぞ!」 松井の形相に葵はたじろいだ。 「泳ぎは得意だって言ったじゃない!!」 「万が一ってこともある!」 「・・・朝美さんとダブッたんだ。ずっとあのひとしかいないんだ」 「俺は・・・」 「帰る!さよなら、彼女の亡霊と泳いでいれば」 葵は勢いよくプールから上がった。 こぼれ落ちる涙が、水に濡れた頬にまぎれていった。