裕二の家に戻った。

「あら、お帰りなさい~」

裕二の母が顔を出す。
綾香の荷物に目が行く。

「あら、何買ってきたの?」

「カメラです」

とにこやかに答える綾香に裕二が付け足す。
「まだ使い方分からないけどね」とプッと笑った。



裕二の部屋に着くと裕二が早速箱を開け始めた。
何だか楽しそうだ。
綾香はほっとした。

「まず、電池の充電だ。」

そう言って電池をコンセントにつないだ。

「4Gのメモリ買ったから余裕はあるよな。」

どんどん話が進んでいってしまう。

「ちょっと裕二君!私にも分かるように教えてよ」

「あぁ、ごめんごめん」

と悪びれもせずに裕二が謝った。

一通りカメラのセッティングは教わった。

…忘れなければ。だが。
くやしいので裕二には言わないが。


「あとは充電待ちだな」

「そっか。」

と綾香はふぅとため息のような声をもらした。

「大変だろ?」

と裕二が言うので綾香が驚く。

「へっ?何が?」

裕二の不眠についてかと思って聞き直したら

「一眼レフ」

綾香はほっとした。
のを気づかれないように言った。

「余裕よ!」

その言葉に裕二はプッと笑った。