先生の天使

「お、今日のフレンチトーストはよく味がしみてるな」

裕二父が言う。

「それはね、綾香ちゃんが作ってくれたのよ」

「いやあの…お口に合えば嬉しいです」

「勿論美味しいよ」

裕二父はにこやかに二口目を食べた。

「裕二君は?美味しい?」


期待をこめた綾香の視線といい振りにゴホッとむせる。


「きゃあ、裕二君どうしたの~」

慌ててティッシュを渡す。

「あのね、綾香」

落ち着いてから口を開いた。

「面白いから黙ってて」




が~ん!!
黙ってて?喋ったらなんかまずいの?
もしかして喋らないでご飯を食べるお家なのかしら?


とぐるぐる考えていえると裕二母が笑った。


「綾香ちゃん、こんな意見ほって置けばいいのよ。照れてるだけなんだから」

と裕二を見て母はプッと笑った。


それを見て、あ、裕二君と同じプッだ~
あれも遺伝だったのね~

と裕二を見ると真っ赤になる。

「母さん余計なこと言うなよ!」

反撃を試みるも

「やだ~本当の事言われたからって怒らなくてもいいじゃな~い」

と玉砕していた。

その時綾香は思った。

裕二君をやり込めるのはお母さんと一緒に言えばいいんだわ!


「綾香今なんかよからぬ事を考えただろう?」

「べっつに~」

そっぽを向いてフレンチトーストをほおばった。