「綾香なんか飲む?」
裕二の両親はまだ旅行中だった。

「あ、うん、私やろうか?」

「ばか者、麦茶くらい入れられる」
ぷくっと怒った裕二に綾香はプッと笑う。

しばらくすると裕二が麦茶と手紙を持って帰ってくる。

「ほい」

と麦茶を渡され「ありがと」と受け取る。

「手紙?」

「うん、平沢って…」

「あ、かをりちゃん?」

「いや、お母さんの名前だ…」

裕二はいやな予感がした。
開けると2通の封筒と手紙が入っていた。

手紙を読む裕二の顔はどんどん表情が無くなっていく。

「?裕二君?」

読み終わった裕二はソファに倒れこむように座った。

「ちょ…裕二君?大丈夫?」

顔を覗き込むと真っ青だった。

「どうしたの?具合悪い?」

焦る綾香に裕二は搾り出すような声で言った。

「平沢が……」
小さすぎて聞こえない。
「え?何?」

「平沢が自殺した」


その言葉に綾香は絶句してしまう。

「え…かをりちゃんが?」

裕二は綾香に封筒の1通を渡した。

「裕ちゃん先生の彼女さんへ」

とある。

綾香は震える手で封筒を開けた。