翌日、綾香は裕二の車の中にいた。

いつものように車で来た裕二だが、綾香を見てずっと無言だった。

綾香はそれが不安でたまらない。

おそるおそる聞く。

「あの…裕二君?」

「ん?」

呼びかけたはいいがなんて言っていいのかわからず、また無言になってしまう。

どうしたのかな?
今日の格好が変なのかな?
それともまだ納得してくれてないのかな。。。

車が路肩に止まる。

綾香は無言の裕二にドキドキして裕二の顔が見れない。

「ごめんな」

突然の裕二の言葉に驚く。

「えっ?なにが?」


「朝、綾香見て自分がどれだけ綾香を傷つけたかわかった」


「へっ?」

「目は泣いたあとがありありとわかるし、寝てなかったんじゃないの?」

「…でも裕二君、わかってくれたからいいよ」

綾香は精一杯の笑顔を作った。

「ごめん」

裕二はそう言って綾香を抱きしめた。
綾香は裕二が本当に自分のところに戻ってきたんだと実感したらまた涙が出てきた。

「裕二君がいないと駄目だよ…私…」
「うん」
「もういなくならないでね」
「うん」


しばらくして裕二から顔をあげる。

「も、大丈夫」
「ほんとに?」

と心配そうに裕二が顔を見たその瞬間

「ひいっく」


ひゃっくりが出る。
うっかり笑ってしまう裕二。焦る綾香。

「ええ?どうして今…ひいっく」

「やっぱり俺も綾香がいいや」

笑いながら言った裕二の言葉にほっとした。
ひゃっくりはしばらく続き、裕二は笑いっぱなしだった。