先生の天使

日曜日。
考えたあげく、スキニーパンツとシャツに上着になった。

鏡の前で練習する。
「斉木綾香です。宜しくお願いします」

赤くなる。

どーしよー!!!

裕二が来る時間だ。

門の前に立ち、裕二を待つ。

時間通りに裕二が到着する。
「おはよ」
裕二はにっこり笑った。
「おはよ」
綾香は照れくさそうに笑った。


「どこでやるの?」
「ん?河原〜」
「じゃあ、すぐそこのバーベキュー場?」
「うん、そう」

しばらく間があく。

裕二が口を開く。

「綾香」
「ん?」
「緊張してるだろ」
見るとニヤニヤと人ごとのように笑っている。
「もう!からかわないでよ!」
「お〜危ない運転中に掴み掛からないように」
綾香はパッと裕二の腕から手を離す。
「大丈夫だよ。良い奴ばかりだから。綾香に会いたがってたよ」

「ゆゆ…裕二君は私をなんて紹介したの?」
会いたがってたというのがひっかかる。
「最後の女」
さらりと裕二が言った。
綾香は真っ赤になってうつむいてしまった。
その途端、「着いたよ」
綾香は慌てて「はい!」と言って車から出た。