先生の天使

「そりゃするでしょ」
川口が当たり前のように言う。
「そ…そうですよね。私、どうしよう…」
「今まで待ってくれてるだけでも奇跡だよ」
綾香は驚く。
「そうなんですか?」
「そりゃ〜そうよ!キスだけなんて天然記念物ものだよ」

綾香は考え込んでしまう。

「大丈夫、裕二君がちゃんとリードしてくれるよ。数こなしてるんだし」

綾香はひっかかった。
「こなしてるんですか?」

川口はしまったという顔をする。

「最後に行き着いたのが綾香だってことよ」

ちょっと苦しいいい訳をしてしまった。

家に帰り、カレンダーを見る。
「クリスマス…あと2週間…」

あの時の裕二の真剣な顔を思い出す。人が変わったみたいだった。

「…怖い…」

裕二君…
って何人くらいと付き合ったことあるんだろう?
そういえば前に過去のこと聞いたら怒ったんだよね…
聞け…ないよね。
でも数こなしてるってどれくらいなんだろう…
もし、クリスマスに失敗したらさよならされてしまうのかな…

大丈夫。裕二君が好きっていうのは本当だから…
怖くても耐えればいいんだから…

そんな事を考えていたら携帯が鳴る。

裕二だ。

「もしもし?」

「綾香?」

「うん」

「次の日曜に友達とバーベキュー行くんだ。一緒に行こう?」

「うん、いいよ」

「ちゃんと彼女って紹介するから」

と言って電話は切れた。

彼女って紹介…されるのは初めてじゃないか!?
さっきの悩みなんて忘れてしまっている。
うわ〜どうしよう。どんな格好してけばいい?
名前覚えるの苦手…大丈夫かな?
そういえば裕二君の友達に会うの初めてじゃない?色々あったからのんびりしてなかったし…

どーしよー!!!