綾香はフッと笑った。
「私ね、恋愛音痴だったの。裕二君と付き合う前。だから失敗もいっぱいしてる。好きってこんななんだって20歳すぎて知ったのよ」
かをりは驚く顔をする。
「転校したらまた恋してね。裕二君と見守ってる。だからいじめに負けないで。転校する前に堂々として転校してね。」

かをりの手を握る。

わっとかをりが泣く。

綾香はかをりを抱きしめる。

「大丈夫、本当の事、知ってる人がいればいいじゃない。誤解してる人なんかほっておいていいじゃない」

かをりは小さくうん、と頷いた。

部屋をでるとかをりの母が聞いていたのか涙している。
「ありがとうございます…」
母が言った。
綾香は会釈をしてかをりの家をあとにした。

ブレスレットを見て独り言を言う。
「ありがとう。裕二君。ブレスレットがあったから言いたい事、怯まずに言えたよ。裕二君が側にいる気がして」
そしてブレスレットにキスをした。
それを改めて思い起こして

「きゃ、自分からキスなんて恥ずかし〜」
いつもの綾香に戻っていた。