「かをりちゃん!大丈夫だった?置き去りにしてごめんね」

かをりは泣いていた。

「ごめんなさい…」
小さな声だった…

かをりの母が言った。
「本当に申し訳ありませんでした。あの、先生は…」
「すぐに一般病棟に移れるそうです」

そうですか。と胸を撫で下ろす。

そこで裕二の母がやってくる。
かをりを見て
「あなたが飛び出した子?」と言う。
「申し訳ありませんでした!」
とかをりの母親が頭を下げる。
裕二の母親は怖い顔でかをりを見る。
綾香はハラハラとその様子を見守る。

「すいませんでした…」
とかをりが謝る。

それを待っていたのかにっこりと笑った。

「あなたが無事で良かった」
と頭をなでる。


綾香もホッとする。

「綾香さん」
「はい」
「裕二は今日は集中治療室からは出れないみたいだから一旦帰りましょう」
「あ、はい」

「あなた方も」
とかをり親子にも促す。


綾香的には裕二のそばにいたかったが帰宅することにした。


裕二の母は綺麗で何て心の広い人なんだろう。と感心した。


家に帰った頃にはすっかり夜になっていた。
綾香はふぅと一息つく。

明日は日曜日だから朝になったら病院行こう。
などと思っていたら疲れたのか夢の中に入っていった…