「大変でしたね。睡眠はどうですか?」

精神科医が全てを聞いて少し驚きながら聞いた。

「はい、寝れてます。たまに睡眠薬を飲み忘れて寝てしまうんですが朝まで寝れてます」

にっこりと精神科医は微笑んだ。

「じゃあ減薬しましょう」

「減薬…ですか?」

「お薬を減らす時期だと思います。心のお薬も減らしていきましょう」

「えっ…」

減薬…確かに寝れるようにはなったがまだ教壇に立つのは自信が無かった。

「大丈夫ですよ。また調子が悪くなったら元に戻しましょう」

考え込む裕二に精神科医がそっと言った。

「綾香さんとは…何か考えてますか?」

突然の問いに裕二はよく分からなかった。

「…はい?」

「今回の事を聞いて綾香さんがとても大きな存在だと思いました。彼女なしではここまで良くならなかったでしょう?彼女を守る為に必死になって自分の病気を忘れるくらい。」

「はぁ」

裕二は何を言いたいのかよく分からなかった。

「無理をする必要はありません。頑張る必要もありません。自然に心の整理が出来る人だと思ってます。でも…綾香さんと将来を考えているのならその事も念頭に置きませんか?」

裕二はようやく何を言いたかったのか分かった。



薬をもらって帰路につきながら考えていた。

綾香と結婚…