車に乗って綾香の家に向かう。
すぐ近所なのだが。

「あっ…」

裕二は声を上げる。

「どうしたの?」

綾香はきょとんとしている。

「ん…いや、何でもない」

暗い道路に黒井が立っていたのだ。
綾香は気づいていなかったようでホッとする。

あいつ…
ずっと家の前でまってたのか?
綾香が教習所とか会社とか行ってる時も?
でもそういえば、仕事はどうしたんだろう?やめたのか?
でも黒井は一人暮らしだから生活が出来ないはずだし…

考えても全く分からなかった。
分かるのは綾香を怯えさせているってこと。

それが一番許せない。
綾香は元々、大人しいし、おっとりしてるから何かがあるときっとどうしていいか分からないんだろう。
そこにつけこんだのだ。黒井は。この前の時に。

自分と付き合ってから綾香は変わったなって思う。
…今は心配かけてしまっているが…
前向きになった。
以前は自分が支えてるだけって感じだったが、今はお互いに支えあってるって感じる。
安心する。
綾香といると。
無理しなくていいんだって。綾香は絶対裏切らないって確信してる。

だからこそ守らなくては。
この大事な恋人を。