『先生、助けてあげて』

裕二はその声に反応した。

「…平沢?」

綾香は裕二の言葉で顔をあげた。

「…どうしたの?裕二君?」

綾香には聞こえてなかったようだ。
裕二は震えてる綾香を見て心を決めた。かをりの気持ちを無視したくなかった。もう二度と。

「綾香、これから会社の行き帰りは俺が運転手するから」

裕二の言葉に綾香と母は驚いた。

「裕二…それは外へ出るってことよ?」

母が恐る恐る聞く。
裕二は母をまっすぐ見て言った。

「綾香を守れるのは俺だけだ。黒井だけには綾香に触ってほしくないから。俺…外に出る」

綾香と母は言葉が出なかった。

外へ出てくれるのはいいが、負担になっていくんじゃないだろうか?と……