綾香がお茶を持ってきた。

「カモミールだよ~」

「おふくろ、いつもカモミールなんだよ」

「私は好きよ。この香り~」

綾香はカップの湯気を吸う。

「綾香」

「ん?」

裕二は天井を見て言った。

「平沢って…成仏できてないってことかな?」

それを聞いて綾香も止まる。

「…どうだろう?そういうの詳しくないし…」

「49日とかなのかな?天国行くの」

「あー、ちょうど区切りだよね。でもそうなると皆死んだら49日間もこの世をうろうろしてるのかな?私にはかをりちゃんは裕二君を心配して行けないんじゃないかなって思うな」


裕二はカモミールを一口飲んだ。

「俺のせいかな?」

綾香は慌てた。

「違う違う。そうじゃなくって…なんて言ったらいいのかな…裕二君がこんなになるほど生徒としてだけど見ててくれたのが嬉しかったんじゃないかな」

「嬉しかった…」

「うん、だから裕二君が危なくなって慌てて私のところに来たんじゃないかな。まだ裕二君にはこの世にいてほしくて」

裕二は黙ってしまった。


あ~失敗したかな。変な言い方だったかしら?でも他になんていってあらわしていいかわからないんすぅ~

と一人苦悩してるとまたかをりの声が聞こえた。

『そうだよ』

慌てて上を探す2人。

「平沢?お前成仏しろよ。俺はいいから」

「かをりちゃん、ありがとうね。裕二君はもう大丈夫だよ。性欲あるし」

赤くなって裕二は綾香を見る。

「性欲と成仏の何の関係があるんだよ」

「だってネットで調べたら悪くなると性欲もなくなるって書いてあったから」

その会話をしてたがもうかをりの声は聞こえなかった。