「裕二君と家と会社が近くて楽だわ~」

のんびりと裕二の家に向かう綾香。

裕二は寝れてるし、きっといい方に向かうわ~

などと思っていたその時だった。



『裕ちゃん先生!死んじゃう!!!』


頭の中に悲鳴が聞こえた。


まさか…そんな…いやでもこの声は…


「かをりちゃん…?」

綾香は一瞬自分を疑ったがその途端走り始めた。裕二の家に。


裕二の家はひっそりとしていた。
慌てて何度もインターホンを押すのに誰も反応しない。

「どうして誰もでないの!?お母さん?いないんですか?」

怒鳴っても反応なし。

門を壊そうにもこの頑丈なオートロックはびくともしない。

「裕二君!お母さん!いないの!?開けて!!」

門を叩く。すると後ろから裕二の母の声がした。

「綾香ちゃん?どうしたの?」

「裕二君は?どこですか!?」

その様子に母は慌てて門を開ける。綾香は中に飛び込む。

2人で玄関に飛び込み裕二の部屋のドアを叩く。

「裕二君?!開けるよ?!」

いささか乱暴にドアを開けた。

2人は仰天した。

裕二はソファの上で寝ていた。左手首から大量出血をして。

「裕二君?!」

揺さぶっても反応がない。傷口は深すぎてどの位なのか見えない。ただドクドクと血が流れ出ている。裕二の手には包丁が握られていた。

「お母さん!救急車を!」

半狂乱になって綾香は怒鳴った。