先生の天使

先生は裕二が泣き止むのを待っていてくれた。

しばらくすると裕二も落ち着いてきた。

「気持ちを軽くするお薬と睡眠導入剤を処方しますから、飲んでくださいね」

裕二に言うと裕二は素直にうなずいた。


母が聞いた。

「先生、この子何かの病気なんですか?」

綾香もドキドキする。

「軽いうつ病ですね。でもお薬でかなり楽になると思います。でも本人が自殺をほのめかすことを言ってますし、出来ればお仕事は休職したほうがいいでしょう。お薬は2週間目くらいから効いてきますのでそれまではなるべく1人にしない方がいいでしょう。」


母と綾香が同時に言った。

「うつ病…」

聞いた事はあったが…まさか、裕二が?

先生は裕二を見た。

「また来週、来てくれるかな?」

「はい」

裕二は小さく答えた。

「休職ですから書面が必要だと思います。今書きますので待合室でお待ちください。」

「ありがとうございました。」

2人は裕二を支えながら部屋をでる。

裕二を見るとどこかすっきりしたのか前を向いて待っている。今まではずっとうつむいていたのに…

などと考えていたら裕二の母が泣き始める。

「お母さん」

綾香は母の前にしゃがんだ。

「綾香ちゃん、これからどうなるのかしら?裕二は子供の頃から活発で…なのにうつ病だなんて…」

「裕二君はきっと立ち直ってくれます。私はそう信じてます。」

綾香からも涙が出る。すると

「ごめんな」

裕二が前を向いたまま言った。

2人は大丈夫だよ。と返した。