僕が彼女の家に来る前、僕は少し小洒落たぬいぐるみの店に並んでいた。僕の隣には蝶ネクタイを付けたウサギのぬいぐるみが座っている。彼はまばらに店に入ってくるお客を見ながら、突然こう言った。
「どうせここにいるお客達は、何年かしたら、僕らのことなど見向きもしなくなるだろうな。」
それはとてもさみしい言葉だった。さみしくて、そして僕の心に深く張りついた。
そんな悲しい言葉を残して、蝶ネクタイのウサギは3日後に買い取られて行った。彼の言葉は張りついたままだった。