サクラ咲ク




「トシ、もうすぐ秋が来るぞ。」



「秋って・・・まだ気が早ぇよ、近藤さん。」







盗み聞きなんて、そんな悪趣味なことしたくないけれど。



思わず隠れて会話を聞いてしまう。





「なぁトシ。俺は、お前がいなきゃここまでは来れなかっただろうよ。」



鳥が、高く高く鳴いた。
その羽音さえ、この耳に届く。





「なんだよ、急に。」



土方さんが困ったように声をあげた。




「いや、ずっと思っていたことだったが、なかなか言う機会がなくてな。本当に、有難う。」





こっちの時代に来て、初めて、本当の“有難う”という言葉を知った気がする。


現代で私の使っていた“有難う”は、言葉をなぞっていたに過ぎないような気がして。




この時代の人たちは、言葉の一つ一つの意味を知って使っているような、そんな気がする。




「・・・間違っちゃいけねぇぜ、近藤さん。」




そう言った土方さんは、きっと不敵に笑ってる気がした。





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