達郎は唇を尖らせながらうなずいた。

「で、林写真館の件については?」

「そっちも認めてるわ。店の写真に気付いた日の夜中に、店頭のガラスを割って写真を破り捨てたそうよ」

乱暴なやり方とは思ったが、他に方法が思いつかなかったと夫妻は供述している。

「よっぽど切羽詰まってたのかしらね」

「罪の意識もあったんだろうな」

頬杖をついたまま、達郎はぶっきらぼうにそう言った。

「なんせ金のために父親の死をねじ曲げたんだからな」

「それなんだけどね」

あたしは北島警視から渡された捜査資料のコピーを取り出した。

「鳥海広義の遺書が見つかったのよ」

「遺書?」

その遺書は、首を吊った広義の傍らに置かれていたという。

「夫妻が隠しておいたのを、捜査当局に提出したのよ」

「遺書ってからには自殺をほのめかす内容だったんだろ」

「その通りなんだけど、ちょっと普通の遺書とは毛色が違っててさ…」